畦に置いてある木の板をはぐったところ・・・
何だか分かりますか?
答えはおそらく、コガムシの蛹です。
コガムシは、水田で非常によく見かける水生の甲虫で、幼虫は肉食、成虫は草食です。
水中で生活しますが、蛹になるときは陸上に上がり、土の中にもぐります。
これが、蛹になる直前の幼虫。
そして、羽化したての成虫。
おしり部分です。
幼虫が陸に上がってから羽化するまで、一般的な甲虫のライフサイクルから考えると、数週間かかると思われます。
今日はこれらが全て見られ、貴重な経験でした。
さて、本ブログの主役のダルマガエル、こちらも貴重な観察ができました。
なんと、もうオタマジャクシが上陸して成体になっていたのです。
これまで観察した中では最速の記録のようです。
もちろんこんなに成長段階が進んでいる個体は一部で、まだ多くはオタマジャクシの状態です。
とはいえ、他のツチガエルやヌマガエルと比べてもダントツに早いと思います。
上陸時期としては、山間地の水田でよくみるアマガエルやトノサマガエルと同じくらいではないでしょうか。
一般的には、ダルマガエルは、4月や5月に産卵するトノサマガエルと比べて産卵時期が遅いとされます。
とくに岡山県南では、田んぼに水が入る時期が6月からということもあり、
「ダルマは6月以降に産卵する」
というのは、常識というか、定説のような感覚でした。
しかしダルマガエルは、産卵環境があれば、ずいぶん早い時期から産卵することができるようです。
おそらく、早く産む個体もいれば、いまごろ産むような遅い個体もいるのだろうと思います。
もともと氾濫源のような低湿地に生息すると考えられている本種ですが、こういった生態が、生存戦略上どういった意味を持つのでしょうか?
興味深いテーマです。
もう一つ言えることは、これだけ早く上陸できれば、田んぼの中干しの影響を受けずに済むことです。
中干しは7月下旬から8月上旬にかけて行われます。
このときにまだオタマジャクシでいると、乾いて死んでしまう個体が少なからずあると考えられます。
これまでの観察では、ダルマガエルの上陸時期はちょうどこの中干し期にかかり、何割かは間に合わないようでした。
保全水田では、創出した溝に常に水があるおかげで、このような心配はありません。
しかも、一般の水田に比べ、早くに上陸する個体が多くなると考えられることから、たとえ梅雨明け後の中干し期に溝の水までが涸れたとしても、生き残る個体が多いということです。
このような観察が得られると、溝を創出した意義がはっきりと確認できます。
他の田んぼでも、小規模でもいいから溝を作ると、カエルの繁殖をだいぶ助けるのだろうと思います。
長くなってしまいました。
みなさんも、興味があれば田んぼに足を運んでみて下さい。
何かしら発見がありますよ。