いのちをつなぐ場所

大野地区でも、だいぶ田植えが進んでいます。
多くの田んぼに水が入り、カエルの鳴き声が一番多いときになりました。
 
 
さて、田植えをされる前になりますが、5月の終わりにたくさん雨が降ったあとの話です。
 
6月3日、田んぼには水がたまっています。
降雨時には、水路の水位も非常に高くなったことでしょう。
 
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そこにこんな生き物の姿がありました。
 
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なにかいるのが分かりますか?
 
答えは
 
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ナマズです!
 
15,6匹はいました。
 
彼らがなぜこんな田んぼにいるかというと、産卵のためです。
 
ナマズやフナは、春、大雨や田植えのための導水によって田んぼに水が入り、水路の水位が上がったときに、田んぼに上がってきて、卵を産むのです。
 
田んぼが産卵場所に選ばれるのは、水深が浅く大型の魚に卵や稚魚が食べられる危険が少ないから、ミジンコのような小型の水生動物や藻類などの餌が豊富にあるから、などと一般的に言われています。
 
このあと水が涸れなければ、田植えのため人為的に水が溜められ、イネが育ち始める頃には、オタマジャクシの親分のようなナマズの稚魚がみられるようになります。
また見つけることができたら、アップします。
 
 
ただし、力尽きて、あるいは田んぼから出られずに死んでしまう個体も多くいます。
 
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フナ(おそらくギンブナ)も死んでいました。
 
ナマズは繁殖のとき、雌に雄が巻き付いて産卵・受精を行うそうです。
これらの個体は、次世代を残すという生物にとって一番大切な役目を終え、いのちを全うしていることと思います。
 
そういえば何年か前の夜中に、水路から田んぼへ、ドジョウが列を成してよじ登っている光景も見たことがあります。
 
こんな光景を見るにつけ、田んぼはカエルだけでなく多くの生き物にとって、「いのちをつなぐ場所」として、本当に重要なんだなと実感します。
 
 
ところでこんな風に魚が遡上し産卵するためには、田んぼの位置が低く水路は田面とかわらないほどの水位になることが必要です。
 
また、地下水位が高く、田んぼの水が涸れにくい場所でないと、稚魚が生き残れません。
 
岡山県南の平野部には、まだこんな水田環境が比較的多く残されています。
 
そんな田んぼの中のさらに限られた田んぼに、ダルマガエルは生息しています。
 
その意味で、大野平野の田んぼは、すごいと思います。