侵入者

先日、夜に水田地帯を移動しながら、カエルの鳴き声を調査していました。
 
とある田んぼで、大きな黒い物体が動いているのを発見しました。
 
もしや、と思ったら・・・
 
イメージ 1
 
やはりこいつ、ヌートリアでした。
 
この田んぼは、代掻きをせずに田植えをしていました。
写真ではわかりにくいですが、イネが植わっています。
 
それを、明らかにムシャムシャやっています。
 
イメージ 2
 
目の前で堂々と。
 
自動車で接近し、窓から乗り出して写真を撮ったので、私との距離は5mもないくらいです。
 
目の前にいるのに、気づいてないはずはないのですが・・・?
夜だと動きが大胆になるのか、食事に夢中になっているのか・・・
 
しょうがないやつです。
ちょっと声を出しておどすと、排水管に逃げ込みました。
 
 
 
ヌートリアは、南米原産の外来種です。
 
20世紀はじめから戦後少しの間まで、毛皮を作るために輸入され、たくさん飼育されていました。
毛皮が売れなくなって放逐され、いまでは完全に野生化しました。
知っていますか?岡山県は全国最大の生息地なんです。
 
こうしてイネや野菜を食害することなどから、いわゆる「特定外来生物」に指定されています。
そのため日本では外来生物法上、駆除すべき対象になっています。
 
 
実は、野殿の保全水田でも、3年くらい前に、みんなで植えたお米が収穫前に食い荒らされたことがあります。
あれはショックでした。
保全水田の横に巣くっており、そのままではイネが育てられないので、猟友会に駆除してもらいました。
 
 
しかし一方で彼らにとってみれば、勝手に持ち込まれた異国の地で、がんばって生きているだけのことです。
 
意外とかわいいところもあり(とくに幼獣はかわいらしい)、生態的にも興味深い生き物ではあります。
 
あるときは持ち込んで増やしたり、あるときは目の敵にして駆除したり・・・完全に人間のエゴに振り回されている生き物といえます。
 
 
ただ被害が出る以上、一定の管理はしていかないといけません。
 
毛皮のために入れたのだから、責任もって全部毛皮にすればいいのに、、、というのは個人的な思いです。
 
 
ちなみに・・・
ヌートリアは食肉にもなり得ます。縁あって食べたことがありますが、うまかったです。