水田生物研究会に参加!

12月23日(日)、滋賀の琵琶湖博物館で開催された「第3回琵琶湖地域の水田生物研究会」に参加しました。
 
 
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このチラシにあるとおり、「ナゴヤダルマガエルこだわり研究」が今年のテーマとなっていました。
 
これは行っとかな! ということで、ポスターを作って参加したしだいです。
 
(種名について:普段わたしを含めみんな「ダルマガエル」と呼んでいますが、学会など公式の場では「ナゴヤダルマガエル」と呼ばれます。大もとの種であるダルマガエルは、亜種であるトウキョウダルマガエルとナゴヤダルマガエルに分けられています。)
 
 
ポスターの会場はこんな感じでした。
 
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会場というか、エントランス部分の広いスペースで行われました。
 
私たちのポスターです。
 
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ダルマガエルの生息環境、およびボランティア活動の運営について、我々保全プロジェクトの活動から分かることを報告しました。
 
実は、この前のアンケート調査の結果は、ここにも活かされています。
(ご協力ありがとうございました)
 
発表題数が少なめなのでちょっと寂しい感じでしたが、何人かと話をさせてもらいました。
 
 
 
さて、メインの発表である「ナゴヤダルマガエルこだわり研究」。
 
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壇上の人は司会の大塚さん(琵琶湖博物館職員)です。
 
とても声のでかい人です。
いろんな研究に携わるバイタリティと、この研究会を企画される熱意のある方でした。
 
 
 
発表のなかでとくにインパクトがあったのは、2題目の内藤さんによる琵琶湖周辺地域での研究でした。
 
おおまかな内容を以下に整理します。
 
研究方法:ダルマガエル生息域のいろんな場所で、カエルの生息状況と水田の環境要素を調査した
 
結果:
ダルマガエルは、田んぼの中干し時にも水の涸れない水域のある水田で生息数が多い
 →安定した水域が一部に必要!
 
ダルマガエルやトノサマガエルは、深い水路に多くの幼体や成体がトラップされる(深い水路によって移動が妨げられ、落ちたカエルが這い上がれずに死ぬ)
 →石垣や脱出スロープなど、成体が這い上がれる構造が必要!
 
ダルマガエルは田んぼで多く繁殖し、ビオトープのような安定した水域や草地には、田んぼの落水などの環境変化に応じて成体が移動してくる
 →繁殖場としての耕作水田と、成体が安定して住める草地や水域がセットで必要!
 
 
ダルマガエルの生息環境について、このようにまとまった研究成果が示されたのは、初めての例だと思われます。
 
ダルマガエルは何で減っているんだろう? どんな環境であれば生き残ることができるんだろう?
 
今までこんな基本的な疑問を抱えたまま、岡山の田んぼで活動していました。
 
これからは上の情報を根拠に、ある程度自信を持って(?)活動に当たることができそうです。
 
 
ただ、このようなダルマガエルの性質は、伊藤さんをはじめ観察上の経験から、なんとなく気づいてはいました。
 
野殿の保全水田で作った溝は、まさにこれに基づくもので、ご存じの通り、結果は上々なものでした。
 
溝をつくり、雑草地もある保全水田の環境は、上の①と③をバッチリ満たすものです。
 
②については、護岸が古く水位が畦を超える大野地区の水路に限っては、あまり関係のないことだと思われます。
 
 
こうして考えると、大野地区の田んぼは、ダルマガエル保全においてとても恵まれた環境にあるんだと、改めて気づかされる思いです。
 
 
 
それにしても、このような研究は、岡山でやりたかった、誰かやってほしかった…
 
と少し悔しくもあります。
 
まだ、研究成果としては一例目に近いですし、岡山個体群では未調査ですから、大学などで研究してほしいものです。
 
わたしも時間と相談しながら少しずつ取り組んでいければと思います。
 
 
 
 
さて、もうすぐ新年ですね。
 
マヤで言うところの世界の変革(?)はなにも感じませんが…
 
 
今年は、カエルをかんがえる展、引っ越し作戦、カエル探偵団総会、大野小ふれあいの会への参加など、例年以上にイベントが目白押しでした。
 
みなさん、お世話になりました。
ご協力ありがとうございました。
 
 
来年は、新しい田んぼでの保全がスタートします。
 
やるべきことがたくさんありますが、またプロジェクト会議を開いて、整理していきましょう。
 
 
では、来年もよろしくお願いいたします。
 
よいお年を!